会長ご挨拶

                              東海社会学会会長 樫村愛子(愛知大学文学部教授) 

 

 2022年の第15回年次大会総会において、会長に選出されました愛知大学の樫村です。後藤会長に引き続き、女性として会長を引き受け、今回の理事会も3割女性を確保できました。

 コロナは「シーセッション」と呼ばれる女性を直撃している災害であり、令和3年の男女共同参画白書が「コロナ禍で顕在化した男女共同参画の課題と未来」という特集を組んで、就業面と生活面の両方における女性差別構造を指摘したように、女性の貧困問題は、ジェンダーギャップ指数116位の日本の緊急の課題となっています。

 また、第15回大会は久しぶりに対面での大会となりましたが、コロナの状況は引き続いています。今年度はコロナ禍の社会を問い直し、研究例会で「社会現象としてのコロナ禍について、社会学は何を問うか」(田中重好氏)、「コロナ禍における技能実習生」(榑松佐一氏)、大会ではシンポ「コロナ禍におけるエッセンシャル・ワークと市民活動」が開かれました。ここでも、公務非正規女性全国ネットワークの中心メンバー瀬山紀子氏から、非正規労働者が支える公共サービスと公務非正規労働者の大多数を占める女性のケア労働の課題が指摘されました。

 さらに第14回大会では、シンポ「〈ネオ〉リベラリズムと排外主義─ナショナリズムと『多文化共生』との関連から」が行われました。コロナの前から世界で起こっている分断や経済格差の広がりと民主主義の危機に直面し、ローカリティに根差しながら、さまざまな社会課題に取り組んでいく必要があります。

 東海地方のさまざまな地域課題を研究し、地域社会と大学・社会学研究者との連携を推進するという学会設立趣意に則り、今期も社会的包摂の推進と多様で寛容な社会の構築を進めていいけるよう、学会活動を活発に行っていきたいと思います。益々のご理解とご支援をお願いいたします。

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